「さけ」「しゃけ」「サーモン」の違いと使い分け方は? 地方の呼び方についても解説

言葉の違い

「鮭」は日本で一般的な魚であり、食卓にもよく登場します。しかし、同じ鮭を指して「さけ」「しゃけ」「サーモン」という異なる呼び名があり、これが混乱の元になることもあります。

特に、日本の食文化を代表する寿司では「サーモン」という英語名で呼ばれることもありますが、高級寿司店では見かけないことが多いのはなぜでしょうか?

 

この呼び名の違いには、地方による呼称の違いや、外国語からの借用などが関係しています。「さけ」と「しゃけ」の使い分けや、「サーモン」という呼称がどのように使われているのか、その背景も含めて解説します。

 

「さけ」と「しゃけ」の使い分けや、「サーモン」という外国語由来の呼び名の理由を理解することで、鮭に関する少しの疑問も解消されるでしょう。

これにより、皆さまの食卓に登場する鮭が、より美味しく感じられるかもしれません。鮭をより楽しむための知識として、この解説がお役に立てれば幸いです。

 

1.「さけ」「しゃけ」「サーモン」の区別と特徴

日本の多くの家庭で親しまれている「鮭」ですが、これには「さけ」「しゃけ」「サーモン」という複数の呼び名があります。

特に、「しゃけ」という呼称は、一部の地域での特有の発音に由来するとされています。また、「サーモン」という言葉は英語由来ですが、日本語としても広く使われています。

 

鮭は、川で生まれ海で成長し、産卵のために川に戻る魚です。鮭の身は赤いことが特徴ですが、実は白身魚に分類されます。この身の色の変化は、海での食生活によるものです。

 

鮭とマスは生物学上の分類では同じサケ科に属しますが、生態的には異なります。サケは海に下り、甲殻類を食べることで身の色がピンクになりますが、マスは淡水域で生活し、白身のままです。

 

「サケ」と「マス」は、生息環境によって区別されますが、英語ではどちらも「salmon」と呼ばれることがあります。日本では、スーパーマーケットなどで売られている「サケ」と「サーモン」には微妙な違いがあることがあります。

 

「しゃけ」という呼び名は、公式な名称ではなく、方言や地域ごとの呼称の一つとされています。この呼び名の由来には様々な説があり、これについても後ほど詳しく触れる予定です。

 

こうした「さけ」「しゃけ」「サーモン」の違いやそれぞれの特徴を理解することで、鮭をより深く楽しむことができるでしょう。それでは、「さけ」と「サーモン」の違いから詳しく見ていきましょう。

1-1. 「さけ」と「サーモン」の違いを解説

「サケ」という魚を英語で表現すると「サーモン」となりますが、それらは同じ魚を指しているわけではありません。

例としてよく聞かれる「サーモントラウト」という言葉は、実は「サケ」ではなく「ニジマス」を指します。この「サーモントラウト」という名前は、本来淡水魚である「ニジマス」を海で養殖したものを指し、それは魚の種類ではなく商品名としての役割を持ちます。

 

英語では、「マス」は「トラウト」と呼ばれます。つまり、「サーモントラウト」は海で育ったニジマスであり、その肉質がピンク色になるため、この名称がついています。

これに対し、サケ科の魚全般は昔は「マス」と呼ばれていましたが、現在では「シロザケ」など特定の種のみを「サケ」と呼び分けています。

 

このように、市場で流通する「サケ」「サーモン」には、種類の違いや産地(国産・輸入)、養殖と天然の違いが関係しています。たとえば、「キングサーモン」「アトランティックサーモン」などは養殖や輸入品として知られ、一方で「シロザケ」「カラフトマス」などは国産の天然ものとして流通しています。

 

また、「さけ」と「サーモン」の違いは、生食の可否にも関わっていました。天然の「さけ」には寄生虫が存在するため、生食は避けられてきましたが、現代の冷凍技術により生食も可能となっています。

1-2.「しゃけ」とは何か?「さけ」との違いについて

「しゃけ」という言葉は、実際には「さけ」の別称であり、魚自体には違いがないことが多いです。

この呼称の違いは地域や文化によるもので、特に日本では「さけ」と「しゃけ」のどちらの呼称も一般的に使われています。

 

「しゃけ」の呼称が広まった背景には、複数の理論があります。

一つには、江戸時代の東京地方(旧江戸地域)の発音の特徴が関係しているという説があります。この地域では、「さしすせそ」の発音が苦手で、それが「しゃけ」という呼称の発生につながった可能性があります。

 

また、全国的に見ると、「しゃけ」は食材としての鮭を指す場合に使われることが多いです。

これは、生きている状態の魚と食材としての魚を区別するための言葉の使い分けと考えられます。例えば、生きている鮭は「さけ」と呼ばれ、食材として加工された後は「しゃけ」と呼ばれることが多いです。

 

一方、アイヌ語起源説もあります。

アイヌ語では、鮭を指す言葉が「サクイベ」や「シャケンベ」とされ、これが日本語の「しゃけ」に影響を与えた可能性が指摘されています。ただし、この説には確証がなく、あくまで一つの理論に過ぎません。

 

最終的には、「さけ」と「しゃけ」の呼称は、どちらも鮭を指す言葉として正しいものであり、使い分けは地域や習慣に基づくものと言えるでしょう。

これらの言葉の背景を理解することで、鮭に対する理解を深め、さまざまな料理の際に適切な呼称を選ぶことができます。

 

2.「さけ・しゃけ・サーモン」の比較と特徴

「しゃけ」に関しては多様な説があり、その起源を明確にするのは難しいですが、「さけ」と「サーモン」の違いは理解しておくと良いでしょう。以下、それぞれの特徴と違いを比較してまとめます。

2-1. 流通している「さけ・サーモン」の種類

◎さけ(マスを含む)

シロザケ:塩鮭として定番で、スーパーでよく見かける切り身のタイプ。春に海で捕れるものが「時鮭」、秋に川に戻るものが「秋鮭」と呼ばれる。

銀鮭:手頃な価格で脂が乗っている。国産の天然物は珍しく、主にチリ産の養殖もの。

紅鮭:主にアラスカやロシア産で、国産・天然物は少ない。

サクラマス(本マス):富山県の「鱒寿司」に使われることが多いが、他ではあまり流通していない。

カラフトマス(青マス):若い状態で「青マス」として売られる。

 

◎サーモン

キングサーモン:高価だが脂が豊富で美味。主にカナダ・アラスカ、ロシア産の輸入品。

アトランティックサーモン:養殖サーモンの代表。通常はノルウェイ産。

サーモントラウト:海で養殖されたニジマス。

2-2. スーパーでの「さけ」と「サーモン」の違い

さけ:主に国産・天然物。

サーモン:輸入品や養殖ものが中心。

2-3. 使い分けと食べ方の違い

さけ:天然物なので、脂の乗りが季節により変わる。生食も可能だが、焼き物や鍋物、または脂が少ない時期はフライなどの調理がおすすめ。

サーモン:脂が豊富で安定している。生食、スモークなど多様な調理法が可能。

2-4. 魚屋や高級料理店で「サーモン」が少ない理由

国産ではなく、輸入物や養殖物であることに対する嗜好の違い。

2-5. 「しゃけ」の意味と由来

「しゃけ」は「さけ」の別称であり、方言やアイヌ語語源説、生物と食材の区別などが理由として考えられている。しかし、辞書に正式な呼び名として載っていないため、地域や習慣による呼称の違いと捉えるのが良いでしょう。

 

この比較を通じて、「さけ・しゃけ・サーモン」の理解を深め、食文化の中でこれらを適切に使い分けることができるようになります。

 

3.まとめ:マスとサケの深い繋がり

「マス」がサケの話に深く関わっていることは、予想外かもしれませんね。

ニジマスが「サーモントラウト」として知られ、またヤマメが「サクラマス(本マス)」になることは、海の大きな影響を物語っています。マスという魚の多様性は驚くべきものです。

 

肉もいいですが、魚の奥深さにも改めて気づかされます。複雑な分類や名称を置いておいて、純粋に美味しいサーモンを楽しむのは素晴らしいことです。1

00円の回転寿司のサーモンも、朝食の塩鮭も、日本人としての小さな幸せですね。サーモンが輸入品であっても、その美味しさは変わりません。

 

この解説で「さけ」と「しゃけ」、そしてサーモンとの関連性を理解できたと思います。これからのサケとの付き合いが、もっと豊かで美味しいものになることを願っています。

これからもサケを愛する人たちにとって、美味しい発見が続きますように。

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