「一級河川」と「二級河川」
これらは何を意味するのでしょうか? まるで川にもランクがあるような気がしますが……
例えば、「一級河川 ○○川」、「二級河川 △△川」という看板を見かけることがありますね。
ただ、外見だけでは「一級」と「二級」の差がどこにあるのか、分かりにくいものです。
では、「二級河川」は努力次第で「一級」に昇格できるのでしょうか? それとも、「一級」「二級」とはどのような基準で分けられているのでしょうか?
この疑問、実は意外と知られていないかもしれません。
特に、橋が重要な交通手段となっている地域にお住まいの方にとっては、これらの違いを理解することは重要かもしれません。
ここでは「一級河川」と「二級河川」について、それぞれの特徴と分類基準について詳しく解説します。
日本には様々な大きさの河川がありますが、これらの違いを知ると、近くの川を新しい目で見る機会が増えるかもしれません。
この記事が、皆さんの「一級河川と二級河川の違いって何?」という疑問を解消するお手伝いになれば幸いです。
1.「一級河川」と「二級河川」の違いの区別について
これらのカテゴリーは「河川法」という法律によって定められています。
驚くべきことに、河川にも法律が適用されています。
では、なぜ川を法律で管理する必要があるのでしょうか。
実は、河川は私たちの生活に非常に重要な役割を果たしています。
洪水、台風による海面の異常上昇、暴風、津波など、様々な自然災害が考えられます。
また、生活用水、工業用水、農業のための灌漑用水、発電など、日常生活において水は欠かせない存在です。
国の安全と経済において河川の重要性は非常に大きいのです。
そこで、特に重要な河川を国が指定し、その管理方法を定めることが必要になります。
この目的のために存在するのが「河川法」です。
この法律は、災害からの国土保全、開発、そして国民生活の保護を目的として、国が管理すべき河川を指定し、その整備や管理について定めています。
「一級水系」とは、河川の単位です。
川は源流から海に向かって流れ、途中で複数の川が合流して大きな流れを作ります。
これらの小さな川の流れを「支川」、合流してできる大きな流れを「本川」と呼びます。
「水系」とは、源流から本川に至るまでの全体を指します。
日本では、全国に109の水系が「一級水系」として指定されています。
これらの「一級水系」に属する「支川」や「本川」の中で、特に重要な区間が「一級河川」と呼ばれます。
要約すると、以下のようになります。
- 河川: 多くの「支川」が合流して「本川」を形成する。
- 水系: 一つの河川の全体を指す。
- 一級水系: 国土保全や経済的に重要とされ、政令により指定された水系。
- 一級河川: 「一級水系」の中で、国が直接管理する主な川の区間。
「二級河川」は、「二級水系」に属する河川の一定区間です。
基本的には「一級水系」と「一級河川」と似ていますが、「二級水系」は公共の利害により重要とされたものです。
「二級河川」は、それぞれの都道府県知事によって指定されます。
「一級水系」に属していても「一級河川」ではない場合があり、同様に「二級水系」に属するもの全てが「二級河川」ではありません。
「二級水系」は全国に2700以上あり、「二級河川」は7000以上に及びます。
要するに、「一級河川」と「二級河川」は、国土保全と経済への影響を考慮して、国が指定した特に重要な区間がそれぞれに該当するというわけです。
これが「一級河川」と「二級河川」の主な違いになります。
それでは、それぞれの「河川」の定義についてもう少し詳しく見ていきましょう。まずは「一級河川」からです。
1-1. 「一級河川」についての解説
「一級河川」とは、河川法の規定に基づき、国土の安全や国民経済に特に重要とされる水系(一級水系)に属する河川の中で、国土交通省によって指定されたものを指します。
この定義は少し複雑に聞こえるかもしれませんが、要するに「国土交通省が指定する、一級水系に属する重要な河川」と理解できます。
一級河川の指定は、次のような理由に基づいています:
- 災害時に大きな人命・財産の損失が発生する可能性がある河川
- その河川の利用による経済的利益や、利用不能時の損害が大きい河川
結果として、これらの河川は国家レベルでの管理が必要とされ、「一級水系」として指定され、その中の特に重要な区間が「一級河川」となります。
また、「河川法」では河川の名前は、一般的に源流から河口や合流点まで同一名で統一されることが規定されています。ただし、地域によっては名称の変更が認められる場合もあります(例:信濃川と千曲川)。
一級河川は通常、複数の都道府県を流れる大規模な水系であり、河川法に基づき指定された部分にのみ適用される法律です。したがって、上流域のような小さな河川部分は河川法の指定を受けておらず、これらは「普通河川」と分類されることが多いです。
要するに、一級河川とは、国が災害対策や経済的な観点から一級水系に属する河川の中でも特に重要な区間として指定し、直接管理する河川のことです。
1-2. 「二級河川」についての解説
次に、「二級河川」について見ていきましょう。
二級河川は、河川法第5条第1項に基づき、一級水系以外の水系(第二水系)に属し、公共の利害に重要な関係があるとされる河川のうち、都道府県知事によって指定されたものです。
これをもう少し分かりやすく言い換えると、「都道府県知事によって指定された、第二水系に属する重要な河川」となります。
二級河川の指定基準は、一級水系に属する河川と似ていますが、影響規模がやや小さい点が異なります。これらの河川は災害時の被害や利用に関連する経済的影響が大きいため、重要とされています。
多くの場合、二級河川は一つの都道府県内に位置しており、その区間に河川法に基づく管理が適用されます。ただし、北海道のように広範囲をカバーする地域では、一級河川と二級河川の両方が存在する場合があります。
一級河川同様、二級水系のすべてが二級河川となるわけではありません。源流から河口にかけての流れでは、「普通河川」から始まり、「準用河川」を経て、「二級河川」となり、最終的に海に流れ込む構造となっています。
二級河川は、その河川が属する第二水系が国家的な観点で災害対策や経済的な重要性を持つと判断された場合に、都道府県知事によって特に重要な区間として指定され、管理される河川のことです。
一般的に、法律の複雑な言葉遣いがこれらの河川の違いをややこしくしていますが、要は「一級水系」と「二級水系」に属する河川のうち、特に重要な区間がそれぞれ「一級河川」と「二級河川」として指定され、河川法による管理が行われているということです。
2.「一級河川」と「二級河川」の違いの概要
法律は複雑ですが、ここで「一級河川」と「二級河川」の違いを簡単にまとめてみましょう。
2-1. 河川の重要性について
◎一級河川
一級河川は水害のリスクが高く、国が直接管理するほど重要です。その河川が提供する上水道、工業用水、灌漑用水、水力発電などの利益、またはそれらの利用が不可能になった場合の経済的損失は国レベルでの影響を持ちます。
一級河川の全体は「一級水系」として指定され、国土交通大臣が直接または都道府県知事に委託して管理します。
◎二級河川
二級河川も災害時のリスクは一級河川と同様ですが、規模は一級河川より小さいとされています。国が「二級水系」として指定し、その重要な区間を都道府県知事が管理します。
2-2. 「水系」とは
水系は、源流から河口までの「支川」「本川」(時には「派川」も含む)の全体を指します。
「一級水系」「二級水系」にかかわらず、「市町村長」または「市町村」が管理する「準用河川」「普通河川」も存在します。
2-3. 河川法の適用範囲
河川法は一級河川と二級河川に適用されます。準用河川は河川法の一部を準用し、普通河川は河川法の適用外です。
2-4. 全国の河川の数
一級河川は14,000以上(一級水系は109)、二級河川は7000超(二級水系は2700以上)です。
2-5. 河川の「進級」について
一級河川と二級河川の指定は1965年に施行された河川法に基づいています。この指定は変更される可能性があり、1997年の法改正では河川環境の整備と安全保障が強化されました。
2008年には、一部の一級河川の管理を国から都道府県に移行する提案がありましたが、これはまだ予定段階で、今後の管理変更の可能性もあります。
河川の管理に関しては、国が担うことが多く、災害時のリスクを考慮すると国レベルでの管理の方が有利とされていますが、これについてはまだ未定です。
3.まとめ:「一級河川」と「二級河川」の違いのと注意点
災害時のニュースで、「川の様子を見に行く」ことが言及されることがありますが、これは実際に非常に危険な行為です。
特に「一級河川」は、その影響が国家レベルで懸念されるほどの危険性を持っています。また、「二級河川」やその他の河川においても、同じく豊かな恩恵と共に甚大な被害をもたらす可能性があります。
河川はその自然の特性上、予測不可能な危険を内包していますので、特に危険な時には近づかないよう強く注意してください。
この記事を通して、「一級河川」と「二級河川」についての理解が少しでも深まり、その知識が皆さんの日常生活に役立てられたら幸いです。
河川に関する知識は、自然と共生する上で重要な一部であり、それを理解することは私たちの安全に直結します。